10月23日、総務省は9月の全国消費者物価指数を発表した。生鮮食品を除く総合は前年同月比2.1%の上昇で、日本銀行が目標とする2%を9カ月ぶりに上回った。同じ日の報道には、もう一つ目を引く数字がある。コメ類は20.6%下がり、比較できる1971年以降で最大の下落幅になった。物価は上がり、コメは下がる。この二つは矛盾しているようで、同じ調査の中で同時に成り立っている。この記事では、買い物の感覚に近い「食料」の数字を、品目ごとに分けて読む。

2.1%の内側で、品目は逆向きに動いている

報道によると、9月の生鮮食品を除く総合は2.1%の上昇で、8月の1.7%から伸びが大きくなった。生鮮食品を除く食料は2.9%の上昇で、8月の2.7%からさらに広がっている。上昇幅の拡大は約1年2カ月ぶりと伝えられている。背景として、中東情勢の悪化による原材料高を挙げる報道があり、外食や調理食品、菓子類などで値上げが目立った。外食のすしは15.5%の上昇だった。

9月の全国消費者物価指数(2025年基準)は、生鮮食品を除く総合が前年同月比2.1%上昇し、2%を9カ月ぶりに上回った。生鮮食品を除く食料は2.9%上昇。コメ類は在庫の積み上がりなどで20.6%下落し、比較可能な1971年以降で最大の下落幅となった。外食のすしは15.5%上昇した。(編集部で要約)
出典:NHK「9月消費者物価指数 前年同月比+2.1% 上昇幅2%超えは9か月ぶり」(2026年10月23日)/熊本日日新聞(共同)「物価上昇、9カ月ぶり2%台 コメは過去最大の2割下落」(2026年10月23日)/日本経済新聞「9月の消費者物価2.1%上昇、9カ月ぶり2%超 食品や日用品が押し上げ」(2026年10月23日)

ここで押さえたいのは、これが「去年の同じ月と比べた変化率」だという点だ。コメ類が大きく下がっているのは、去年にコメの値段が大きく上がった、その反動でもある。去年が高かったぶん、今年の下落率は大きく見える。一方、外食や調理食品は、去年よりさらに上がっている。変化率の向きが違う品目が、同じ「食料」の中に混ざっている。

「平均」は、誰の財布の中身でもない

消費者物価指数は、全国の家計が買う品目をまとめて平均した数字だ。2.9%という食料の上昇率は、コメを毎日炊く家庭にも、昼は外で食べる人にも、同じように当てはまるわけではない。自炊が中心なら、コメの値下がりが効く。外食や弁当が多ければ、すしや調理食品の値上げが効く。同じ月に、台所の負担が軽くなる人と重くなる人がいても、不思議ではない。

ここまでは調査から言えることだ。以下はTONEの見方になる。物価のニュースを見て「家計が苦しい」「いや楽になった」と意見が分かれるのは、見ている品目が違うからではないか。数字が割れているのに、結論だけを一つにそろえようとすると、どちらの実感も外れる。2.1%と20.6%は、どちらも本当の数字で、どちらも一部の人の暮らししか映していない。

TONEの視点:家計は「平均」でなく「自分の買い方」で測る

明日からできるのは、自分の食費を「主食」「外食・総菜」「その他」の3つに分けて見ることだ。レシートや家計アプリの記録から、直近3か月ぶんでかまわない。主食の中にコメやパンが含まれ、外食・総菜の中に弁当やすしが入る。分けたうえで、自分の支出の多い側が、いまどちらに動いているかを確かめる。

コメが下がっているなら、ストックを増やすより、いつも通りの量を、前より少し良い銘柄で買うという選び方もできる。外食や総菜が増えているなら、週のうち1〜2回を、自分で作る日にするだけで差が出る。どれも、物価の平均が教えてくれる話ではない。自分の買い方を3つに割ってみて、初めて見える。全国の数字は、その確かめ方を始めるきっかけとして使えばいい。

※本記事は2026年10月29日時点の報道に基づく。数値は2025年基準の速報値で、今後の改定で変わる可能性がある。品目ごとの数字は報道で確認できた範囲に限る。本記事は広告ではなく、特定の商品の購入を勧めるものでもない。