11月1日の朝、電気の料金表が変わった。大手電力会社の「規制料金」と呼ばれる、ふつうの家庭が多く契約しているプランの単価が、北陸電力を除く9社でいっせいに改定された。ニュースでは「月590円アップ」という数字が目立った。だが、この数字は全員に同じように当てはまるわけではない。この記事では、報じられた金額を整理し、自分の家の請求書のどこを見ればいいかを読む。
254円から590円、理由は「送電線の利用料」
セレクトラやエネがえるなどの解説記事によると、今回の改定は、送配電網の利用料である「託送料金」の見直しを受けたものだ。託送料金は、発電した電気を家まで届ける電線や設備の使用料にあたり、電力会社の料金に含まれている。発電にかかる燃料の価格とは別の要素なので、「燃料が上がったから」という説明とは違う。
各社が示したモデル家庭(使用量は月260kWhなど)の増額は、月254円から590円の幅と報じられている。東京電力エナジーパートナーは従量電灯B・30A・260kWhで9,307円から9,561円へ254円増。中部電力ミライズが395円増、関西電力が407円増、北海道電力が481円増、東北電力が485円増で、いちばん大きい沖縄電力は9,174円から9,764円へ590円増とされる。
北陸電力を除く大手電力9社が、託送料金の見直しを受けて2026年11月1日から規制料金を改定。各社公表のモデルケースでは月254円〜590円の値上げ。(編集部で要約)
出典:セレクトラ「11月から電気代が月590円アップも?大手電力9社が一斉値上げ」/エネがえる「2026年11月の電気料金値上げ」/「11月から電気代がまた上がる?」(時事ニュース解説)
注意したいのは、数字の前提が記事ごとに違うことだ。東京電力の増額について、別の記事は「177円増で9,738円」と書いている。契約アンペアや使用量、燃料費調整額や国の支援を含めるかどうかで、同じ会社でも金額が変わる。TONEでは、確認できた各社公表のモデルケースの数字だけを使っている。なお、国の電気代支援が9月使用分で終わったことによる負担増は、この託送料金の改定とは別の話として報じられている。
TONEの視点:同じ「値上げ」でも、割合は2.7%から6.4%まで違う
額だけを並べると、東京の254円と沖縄の590円は倍以上違う。割合にしてみる。東京は9,307円に対して254円で約2.7%、沖縄は9,174円に対して590円で約6.4%(いずれも編集部計算)。元の請求額はほぼ同じなのに、上がる割合は2倍以上開く。住んでいる地域で、送配電にかかる費用の見直し幅が違うからだ。
年に直すとどうか。254円なら年3,048円、590円なら年7,080円になる(編集部計算)。月の数字では小さく見えても、1年続くと、ちょっとした外食1回分から数回分になる。TONEは、家計の値上げは「月いくら」より「1年でいくら」に直したほうが、ほかの支出と比べやすいと見る(編集部の見方)。
もう一つ、見ておきたいことがある。この種の値上げは、使う量を減らしても、単価の部分が変わらない限り消えない。冷暖房の使い方を変える節約と、契約そのものを見直す節約は、別の作業だ。前者は毎日の手間、後者は一度の手間で済む。
明日からの一手:検針票の3か所を見る
まず、手元の検針票(アプリなら請求の詳細)で、次の3つを確認する。①契約種別と契約アンペア、②先月の使用量(kWh)、③請求額の内訳にある「燃料費調整額」と「再エネ賦課金」。この3つがわかれば、報じられたモデルケースと自分の家の差が読める。
そのうえで、アンペアが大きすぎないか、契約プランが今の暮らしに合っているかを、電力会社の公式サイトの試算ページで一度だけ試す。新しい料金の反映は12月の請求分からと報じられているため、今月のうちに数字を見ておけば、驚かずに済む。
※本記事は2026年11月4日時点の報道に基づく一般的な情報。電力各社や経済産業省の公式資料は今回直接確認できていないため、金額や適用条件は、契約中の電力会社の公式発表で確認できる。本記事は広告ではなく、特定の電力会社や商品を勧めるものでもない。