10月27日から、読書週間が始まる。毎年この時期に、本の話題が増える。けれど数字を見ると、本を読む人の話より、読まない人の話のほうが、いまは大きい。
1か月に1冊も読まない人は、6割を超えた
文化庁が2024年9月に公表した令和5年度の「国語に関する世論調査」によると、1か月に本を1冊も読まない人は62.6%だった。「1、2冊」は27.6%。ここでいう「本」は、電子書籍を含み、雑誌やマンガは含まない。前回の平成30年度調査では「読まない」が47.3%だったので、5年で約15ポイント増えたことになる。同調査によれば、読書量が減っていると答えた人が挙げた理由の上位は、スマートフォンなどの情報機器に時間を取られること、仕事や勉強が忙しいことだった。
令和5年度「国語に関する世論調査」(文化庁)で、1か月に本を読まない人は62.6%、1、2冊は27.6%。平成30年度調査の47.3%から増加した。読書量が減った理由は、情報機器に時間を取られる、仕事や勉強が忙しい、などが上位。(記事の要点を編集部で要約)
出典:Impress Watch「読書離れが深刻? 1か月に読む本の冊数「読まない」が約6割【文化庁調べ】」(2024年9月20日)
この調査は2023年度のもので、今年の数字ではない。今年10月に文化庁が公表した最新の調査結果には、読書量の項目は確認できなかった。そのため、ここでは最後に読書量を聞いた調査の結果として読んでほしい。
「読めない」の中身は、時間より「余白」ではないか
減った理由の上位に「時間がない」と「情報機器」が並ぶことに、少し引っかかる。仕事が忙しくない日でも、スマホを見ている時間はある。つまり、時間がないのではなく、時間が細かく切れている。数分の隙間に、通知やショート動画が入り込む。本は、まとまった時間と、途中でやめない気持ちを必要とする。その「まとまり」が、日常から減っているのではないか。TONEの見立てだ。
10月16日に取り上げた「誰の言葉を信じるか」の記事でも、情報が多いほど、人は迷いやすくなるという調査を紹介した。本は、一人の書き手の考えを、最初から最後までつなげて受け取る、数少ない形だ。細切れの情報とは反対の方向にある。だから「読まなくなった」ことは、本そのものが嫌われたのではなく、そのつなげて受け取る時間を、置く場所がなくなった、という話に見える。
TONEの視点:読書は「量」ではなく「場所」で決まる
調査が聞いているのは冊数だ。けれど、続く人は冊数をあまり気にしていないように思う。続けられる人は、読む場所と時間が決まっている。寝る前の15分、移動の電車、休日の午前。冊数を増やそうとするより、まとまった時間を先に確保するほうが、読み始めやすい。読書週間は、その場所を作るきっかけにちょうどいい。
ここで言っているのは、「本を読むべきだ」ではない。読む人が減ったこと自体は、良いとも悪いとも言えない。ただ、「読みたいのに読めない」人がいるなら、その原因は意志の弱さではなく、時間の切れ方にある。それなら対処もできる。
明日から使える一手
今夜、寝る前の15分だけ、スマホを別の部屋に置いて、本を1ページ開いてみてほしい。読み切ろうとしなくていい。まとまった15分が自分にあるのかを、確かめるだけでいい。それができれば、読書週間の2週間(10月27日から11月9日)に、1冊の入り口には立てる。