冬服の買い物が、これから本格的に始まる。コートかニットを探しはじめたとき、最初に開くのは新品のサイトか、それとも中古のサイトか。矢野経済研究所の推計では、国内のファッションのリユース(中古)市場は2025年に1兆4,100億円になった。前年比110.2%と伸びている。「中古は特別な人の買い物」という見方は、数字の上ではもう合わなくなっている。
1兆4,100億円、前年から1割増えた
矢野経済研究所は2026年6月29日発行のレポート「2026 ファッション業界のリユースマーケット動向」で、2025年の国内ファッションリユース市場を1兆4,100億円(前年比110.2%)と推計し、2026年以降も拡大が続くと予測している。背景として挙げられているのは、可処分所得の伸び悩みだ。物価上昇や社会保険料の負担増を受けて、消費者が日々の支出を見直し、安くて状態のよい商品を求める動きが市場を押し上げているとされる。
矢野経済研究所は、2025年の国内ファッションリユース市場規模を前年比110.2%の1兆4,100億円と推計し、2026年以降も拡大が続くと予測した。(資料の要点を編集部で要約)
出典:矢野経済研究所「2026 ファッション業界のリユースマーケット動向」(2026年6月29日発行)
リユース全体で見ても同じ方向だ。共同通信の報道によると、2024年のリユース市場は3兆5千億円で、環境省は2030年までに4兆6千億円へ引き上げることを目指している。なお、矢野経済研究所の数字は「ファッション」に限った市場で、環境省の数字はリユース全体のため、定義が違う。両者を足したり、直接比べたりはできない。
環境省は、リユース品の市場規模を2030年までに現在の約3割増にする目標を掲げ、2024年の市場規模は3兆5千億円とされている。(記事の要点を編集部で要約)
出典:熊本日日新聞(共同通信配信)「『リユース品』市場規模、3割増 環境省、30年までに」
「安さ」だけでなく、「探す順番」が変わった
伸びている理由は、価格だけではないと考えられる。中古で買うことが、「妥協の選択」から「最初の候補」に近づいている。新品の棚を見る前に、同じ型や同じ素材の中古がいくらで出ているかを先に見る。そうした順番の入れ替えが、市場の数字に表れているのではないか。これは調査が直接示した結論ではなく、編集部の見方だ。
冬のアウターやニットは、定価が高いぶん、中古との価格差が大きい。一方で、サイズや状態は一枚ごとに違う。買ったあとに「思っていたのと違う」となる確率も、新品より高い。伸びている市場だからこそ、選ぶ側が見方を持っておく必要がある。
TONEの視点:新品を見る前に、中古を「30分」見る
使える一手は単純だ。ほしい服が決まったら、新品の商品ページを開く前に、中古の出品を30分だけ見る。同じブランド名や素材名で検索して、相場を知る。そのうえで、新品の値段を見る。順番を変えるだけで、「この値段は妥当か」の物差しが手に入る。
中古を選ぶときは、三つだけ確認する。サイズ表の数字(肩幅・着丈)、写真に写っていない部分の説明(袖口・内側)、返品できるかどうか。この三つが答えられない出品は、安くても見送る。新品でも中古でも、最後に決めるのは自分の手持ちとの相性だ。市場が1.4兆円になっても、買い物の基準は、自分の持ち物を数えるところから変わらない。
※本記事は2026年10月24日時点で確認できた情報に基づく。市場規模は推計値であり、調査会社により定義・範囲が異なる。