10月17日の土曜、東京・立川。陸上自衛隊立川駐屯地を出発した選手たちが、国営昭和記念公園のゴールをめざして、21.0975キロを走った。来年1月の箱根駅伝への出場権をかけた、予選会だ。報道によると、本戦への切符を手にしたのは10校。その1位は東洋大学だった。
トップ通過の東洋大は、予選会に出ること自体が21年ぶりだった
日本経済新聞などによると、予選会には45校が出場し、本戦に出られるのは10校。東洋大が1位で通過した。東洋大は今年1月の第102回大会で14位となり、前年までの成績で与えられる「シード権」(10位以内)を21年ぶりに失った。そのため、今回は2005年以来、21年ぶりに予選会から出場することになった。レース前の報道では、出場する選手の全員が、予選会を走るのが初めてであることも、懸念として挙げられていた。
第103回箱根駅伝予選会(2026年10月17日、東京・立川)で、東洋大学が総合1位で本戦出場を決めた。予選会通過は10校。本戦は2027年1月2日・3日。(記事の要点を編集部で要約)
出典:日本経済新聞「箱根駅伝予選会、10校が出場権獲得 1位通過は東洋大」(2026年10月17日)、東洋大学「【結果速報】第103回箱根駅伝予選会 総合1位で本選出場が決定しました!」(2026年10月17日)
強い大学ほど、予選会は縁がない。シード権を持つ10校は、翌年の本戦に出られる。だから、予選会を走るのは、シード権を持たない学校だけだ。ここに、箱根駅伝の仕組みの面白さがある。一度シードを失うと、次の1年は、予選会という別の大会を通過しなければならない。そして、本戦と予選会は、順位の決め方が違う。
予選会の「強さ」と、本戦の「強さ」は、別の時計で測っている
本戦は、1人が区間を走り、たすきをつなぐ。1人の区間タイムの良し悪しが、そのまま順位に響く。一方、予選会は、全員が同じコースを走り、各校の上位選手のタイムを合計して順位を決める。つまり、本戦は「一人ひとりの区間での質」、予選会は「上位の選手がまとまって速いかどうか」を測っている。
この違いは、10月16日に書いたプロ野球の短期決戦の話と、少し似ている。そのとき、長いシーズンの強さは平均で、短期決戦の強さは一回の質で測ると書いた。駅伝にも、同じことが言える。予選会を1位で通過したことは、チームの「上位の厚み」が示されたということで、1月2日の1区から10区までの、すべての区間で強いという意味ではない。TONEはそう読んでいる。東洋大が本戦でどんな順位になるかは、まだ誰にも分からない。
TONEの視点:順位の隣に、「どの時計か」を置く
スポーツの順位は、見やすい。けれど、順位は結果であって、中身ではない。予選会は合計タイム、本戦は区間タイムとたすき。測る時計が違えば、同じ「1位」でも、意味が違う。シードを失った大学が、一度予選会を通過して本戦に戻る。その1年は、チームにとって、強さの測り方を変える1年なのかもしれない。
この見方は、箱根駅伝に限らない。会社の売上も、試験の点数も、「どの時計で測った数字か」を一度確かめると、同じ数字でも、読めることが増える。
明日から使える一手
来年1月の箱根駅伝は、1月2日と3日。もし中継を見るなら、チームの順位だけでなく、「区間順位」の欄を一緒に見てほしい。たすきが渡るたびに、その区間の走りが、本当にその順位を作っているのかどうかが分かる。予選会を勝ち上がった10校が、どの区間で強いのか。そこを見ると、いつもの中継が、少し違って見える。