11月は、秋のマラソンがいちばん多い月だ。11月1日には富山マラソン、8日にはちばアクアラインマラソン、22日には福知山マラソンが予定されている。走る人にとっては、申し込みの時期でもある。そこで毎年話題になるのが、参加費の高さだ。この記事では、報じられた調査と各大会の募集要項から、参加費を「いくらか」でなく「何に払うか」で読む。
9割が上げて、希望者は3割ほど減った
日本経済新聞の報道によると、2023年秋に自治体を中心に行われた調査で、コロナ禍前の2018〜19年と比べて参加費を「上げた」大会は9割ほどにのぼった。一方で、出走を希望する人は平均で3割ほど減ったという。東京新聞も、参加費の高騰でランナーの財布のひもが固くなり、定員割れや大会終了が出ていると伝えている。
市民マラソンの参加費を引き上げた大会は9割ほど、出走希望者は平均で約3割減(2023年秋の調査)。大会数の増加や参加費の高騰で、定員割れや終了の動きも出ている。(編集部で要約)
出典:日本経済新聞「市民マラソン、9割が参加費引き上げ 出走希望者3割減」/東京新聞デジタル「定員割れ、大会終了…『市民マラソン』増えすぎてブーム失速」
この調査は2023年のものなので、今年の数字ではない。ただ、2026年の募集要項を見ても、水準は高いままだ。富山県の発表では、富山マラソン2026の一般枠は14,000円。ちばアクアラインマラソン2026のフルマラソンは、公式のエントリーページで16,500円と案内されている。
理由として、報道や解説では、警備や交通規制、救護、資材にかかる人件費・物価の上昇が挙げられている。公道を長い時間とめる大会ほど、費用がかさむという説明だ。大会数が過去最多になるほど増えたことで、参加者の取り合いになっている、という指摘もある。
TONEの視点:参加費は「1キロの値段」に直すと、比べられる
14,000円と16,500円を、フルマラソンの42.195kmで割ってみる。富山は1kmあたり約332円、ちばは約391円になる(編集部計算)。この単位にすると、大会の差が1kmあたり約59円と見えてくる。1万円を超える額は大きく感じるが、1回の大会で何を得るかを、「距離」と「付いてくるもの」に分けると、判断の材料になる。
ただし、付いてくるものは大会ごとに違う。記録の計測、完走賞、手荷物預かり、給水・給食、交通規制の範囲など、募集要項に書かれている内容は同じではない。安い大会が悪いわけでも、高い大会が良いわけでもない。TONEは、参加費は「走る距離」「当日のサービス」「行き帰りの交通費と宿泊費」の合計で見るのが現実的だと考える(編集部の見方)。
11月3日には、京都マラソンの倍率が3.1倍に上がったという京都市の発表を取り上げた。京都マラソンの倍率の記事で書いたとおり、人気のある大会には人が集まる。参加費が高くなると、人は「どこに払うか」を選ぶようになる。選ばれる大会と、選ばれにくい大会の差が広がる局面だと見ていい。
もう一つの見方もある。参加費が上がると、年に何回も走る人は回数を絞り、1回に払う額に見合う大会を選ぶようになる。主催側から見れば、価格だけで競うのは難しい。コースの景色、沿道の応援、会場までの行きやすさなど、走る体験そのものが選ばれる理由になる。値段の話に見えて、実は「どんな1日にしたいか」を問われているのが、今の参加費の話だ。
明日からの一手:申し込む前に、募集要項の3行を見る
気になる大会があれば、募集要項で次の3行を確認する。①参加費に何が含まれているか(記録計測・完走賞・手荷物など)、②先着か抽選か、キャンセルや返金の条件、③会場までの交通費と宿泊の見込み。この3つを足して「総額」にしてから、同じ時期の別の大会と並べる。
1kmあたりの値段に直すクセをつけると、数字に引っ張られずに済む。出たい大会に払うのは、納得して決めた額であればいい。
※本記事は2026年11月4日時点で確認できた報道・公式ページに基づく一般的な情報。日経の調査は2023年秋のもので、今年の全国の平均額を示すものではない。各大会の参加費や定員、申込期間は、公式サイトで最新の内容を確認できる。本記事は広告ではなく、特定の大会への参加を勧めるものでもない。