プロ野球の日本シリーズは、DeNAとソフトバンクの顔合わせになった。2024年と同じ組み合わせだ。DeNAはクライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージで阪神に4連勝し、レギュラーシーズン3位から2年ぶりに日本シリーズへ進んだと報じられている。ソフトバンクは日本ハムに3連勝し、リーグ1位のアドバンテージを含めて5勝0敗で突破した。同じ2球団が2年続けて日本一を争う。こういうとき、人はつい「2年前はこうだった」と結果を重ねて読みたくなる。

「再戦」は、同じ試合の続きではない

2024年の日本シリーズは、DeNAがソフトバンクを破って日本一になった。この年もDeNAはレギュラーシーズン3位からCSを勝ち上がっており、「3位からの下剋上」という形は今年と重なる。ただし、重なるのは形だけだ。選手の顔ぶれも、シーズン中の戦い方も、2年たてば変わる。2年前の勝敗は事実として残るが、今年の予告にはならない。

もうひとつ、今年の両球団の「ここまで」は対照的だ。ソフトバンクはリーグ1位として、CSを5勝0敗で通った。DeNAは3位から、ファイナルステージを4連勝で通った。どちらも「勝ち上がった」という点は同じでも、土台にしている時計が違う。長いシーズンで積んだ強さと、短期決戦で勝ちきった強さは、同じものを測っていない。

2026年のCSでDeNAが阪神に4連勝し日本シリーズ進出を決めたこと、ソフトバンクが日本ハムに勝って進出を決めたことを伝える報道より。(記事の要点を編集部で要約)
出典:NHK「DeNAが2年ぶり日本シリーズ進出 CSファイナル 阪神に4連勝」(2026年10月17日)、日本経済新聞「DeNA、阪神に4連勝でCS突破 再び3位から日本シリーズ進出」、NHK「ソフトバンクが日本シリーズ進出に王手 日本ハムにサヨナラ勝ち」(2026年10月15日)

TONEの視点:「前回の結果」は、見る側の物語だ

再戦には、見る側が勝手に物語を足しやすい。「雪辱」「リベンジ」「2年前の再現」といった言葉だ。もちろん、そう感じて見るのは自由だ。ただ、それは試合の中で起きることではなく、見る人の頭の中で起きることだ。1試合ごとの結果は、その日の先発投手と、打線の調子と、1球ごとの選択でほとんど決まる。

だから日本シリーズを見るときは、「どちらが強いか」を先に決めないほうがいい。短期決戦は、7試合のうち4勝した側が勝つ。シーズンの勝率が高い側が有利になる確率は上がるが、約束にはならない。それを前提に、試合ごとの流れを見たほうが、結果への納得感は大きい。なお、日程や先発の予想、勝敗の見通しは、公式の発表が出ていない部分が多いので、ここでは扱わない。

もうひとつ、3位から上がってきたチームには、見る側が「勢い」という言葉を当てはめやすい。4連勝という数字は確かに目を引く。ただ、勢いは試合に出る前の気分を表す言葉で、次の試合の結果を決める要素として数えるのは難しい。数えられるのは、先発の球数、継投のタイミング、走者が出たときの判断のような、目に見える場面だ。勢いで説明したくなったら、そこで一度立ち止まり、場面に言葉を置き換えてみる。

一方のソフトバンクにも、同じ見方が当てはまる。1位通過のあとにCSを無敗で抜けたことは、強さの一つの表れだ。しかし、シーズン中の強さが、そのまま7試合に持ち込まれるとは限らない。試合間の日程が空いたとき、調子がどう動くかも、外から決めつけることはできない。強さと勢い、その両方を「物語」として受け取りながら、判断は場面ごとに行う。それが、短期決戦を最後まで楽しむ見方だと考える。

明日から使える見方

試合を見ながら、次の3つをメモしてみてほしい。①先発投手が何回まで投げたか。②勝敗を分けた「1つの場面」はどこか。③2年前の話を、自分が何回思い出したか。③は冗談のようだが、いちばん大事かもしれない。再戦の物語を外して見ると、同じ試合がまったく別のものに見える。