10月から11月は、市民マラソンの季節だ。申し込みを済ませ、朝の公園で距離を踏む人の姿が増える。けれど統計の上では、この国で走る人は数年前より確実に少なくなっている。

4年で、300万人近く減った

笹川スポーツ財団の「スポーツライフに関する調査」によると、20歳以上のジョギング・ランニング推計実施人口は、2020年の1,055万人から、2022年の877万人、2024年の758万人へと減った。実施率は10.2%から7.4%になった。男性は564万人(実施率11.4%)、女性は175万人(同3.3%)で、女性の実施率は1998年の調査開始以来最低だという。年代別では、20代が2020年の約3分の1に減り、とくに20代女性は15.8%から4.9%に落ちた。調査は2024年6〜7月に実施され、結果は2025年10月に公表されている。

20歳以上のジョギング・ランニング推計実施人口は758万人(2020年は1,055万人、2022年は877万人)。実施率は7.4%で、女性は調査開始以来最低。20代は2020年比で約3分の1に減少。(記事の要点を編集部で要約)
出典:笹川スポーツ財団「ジョギング・ランニング人口」(スポーツライフに関する調査・2024年実施)、日本経済新聞「ランニング人口、300万人減 笹川スポーツ財団調査 4年で、20代3分の1に」(2025年10月)

注意したいのは、この数字は「年に1回以上走った人」を含む推計だという点だ。比較の起点の2020年は、コロナ禍の時期にあたる。ピークからの減少を、そのまま「ブームの終わり」と呼ぶのは早いかもしれない。2024年の水準は2008年ごろと同じと伝えられており、元の位置に戻ったと見ることもできる。

減った理由は、まだ「背景」しか分からない

財団は、減少の背景としてマラソン大会の減少や、スポーツ以外の余暇の選択肢が増えたことを挙げている。ただし、これが原因だと断定しているわけではない。

大会の側にも変化がある。nippon.comは、物価や人件費の上昇で運営費が膨らみ、参加費が上がっていると伝えた。東京マラソンの参加費は、第1回の2007年の1万円から1万9,800円になったという。また東京新聞は、大会数が2018年度の80大会まで増えたあと、コロナ禍を経て2022年度に72大会まで戻ったこと、人口が減る中で大会が飽和状態にあるという見方を紹介している。走る人が減ったから大会が減ったのか、大会が減ったから走る人が減ったのか。どちらが先かは、これらの資料からは分からない。

市民マラソンは、参加者の伸び悩みと運営費の上昇が重なり、赤字や終了に至る大会が出ている。東京マラソンの参加費は第1回の1万円から1万9,800円に。大会数は2018年度の80から2022年度に72へ。(記事の要点を編集部で要約)
出典:nippon.com「曲がり角に来た日本のマラソンブーム─急拡大の末に直面した壁」、東京新聞「定員割れ、大会終了…『市民マラソン』増えすぎてブーム失速」

TONEの視点:走る人が減ると、「走る理由」が見えやすくなる

大会は、走る人に「理由」を貸す仕組みでもあった。日付が決まり、申し込み、練習の計画ができる。外から理由が与えられるから、続けやすい。大会が減り、参加費が上がれば、その理由は借りにくくなる。

7月に取り上げたランニングクルーの増加は、その別の答えに見える。タイムではなく、集まる場そのものを理由にする走り方だ。大会という大きな目標がなくても、仲間と決まった曜日に走るなら、走り続ける理由は足りる。人数が減ることと、走ることの意味が薄れることは、別の話かもしれない。

減ったのは、「走る人」の総数というより、「誰かが用意してくれた理由で走る人」なのではないか。これは数字からは証明できない、TONEの仮説にすぎない。ただ、そう考えると、残った758万人の走り方のほうが、むしろ自分で選んだものに見えてくる。

明日から使える一手

走ろうと思ったら、距離や時間より先に「何のために走るか」を一言で決めてみてほしい。大会に出るためでも、友人と会うためでも、夕方の頭を空にするためでもいい。理由を自分の言葉で持っている人は、大会が減っても、天気が悪い日が続いても、走る習慣を手放しにくい。申し込みボタンを押す前の30秒で、その一言を書いておく。それが、次の季節まで走り続けるいちばん軽い準備になる。