「いまの生活に満足している」と答えた人が、7割を超えた。物価が上がり続ける年に、この数字が過去最高になったと聞くと、意外に思う人は多いだろう。10月5日に博報堂生活総合研究所が発表した調査の結果だ。

34年間の調査で、初めて7割を超えた

博報堂生活総合研究所の「生活定点」は、1992年から2年に1度、同じ質問で生活者の意識や行動を聞いている長期調査だ。2026年は首都40km圏と阪神30km圏に住む20〜69歳が対象で、報道によれば2,240人から有効回答を得ている。「現在の生活に満足している」は70.8%で、調査開始以来の最高となった。2012年以降は緩やかに上がり続けていて、7割に届いたのは今回が初めてだと発表されている。

「現在の生活に満足している」は70.8%で過去最高。2012年以降は緩やかな上昇が続き、初めて7割に達した。(発表の要点を編集部で要約)
出典:博報堂生活総合研究所「生活者への34年間の長期時系列調査『生活定点1992-2026』結果を発表」(2026年10月5日)

同じ調査で、「あなたの生活は豊かですか」に「豊か」と答えた人は62.9%だった。こちらは前回からほぼ横ばいで、年代別では20代が72.9%、60代が58.2%と報告されている。満足は過去最高なのに、豊かさの実感は大きくは動いていない。この二つは、同じ物差しではない可能性がある。

過去最高になった、ほかの項目

今回、過去最高を更新した項目は、満足度だけではない。「睡眠時間を増やしたい」は68.3%、「趣味にお金をかけている」は36.1%、「株など投資に今後お金をかけたい」は32.8%と、いずれも過去最高とされている。一方で、お歳暮を毎年欠かさず贈る習慣などは過去最低を更新した。

睡眠時間を増やしたい(68.3%)、趣味にお金をかけている(36.1%)、投資に今後お金をかけたい(32.8%)などが過去最高。お歳暮を毎年欠かさず贈る習慣などは過去最低となった。(発表の要点を編集部で要約)
出典:PR TIMES 博報堂生活総合研究所「生活定点1992-2026」ニュースリリース(2026年10月5日)

調査をまとめた報道では、物価上昇が続く中での満足度の上昇が意外な結果として紹介されている。ただし、調査は理由まで聞いているわけではない。なぜ満足が上がったのかは、数字だけでは断定できない。

TONEの視点:満足は、「足りている」の数え方で決まる

数字を並べて見えるのは、お金や時間の使い道が、他人に見せる物から自分で決める物へ移っているように見えることだ。睡眠を増やしたい、趣味に使いたい、お歳暮のような義理の出費は減らす。この動きが、満足度と結びついている可能性はある。ただしこれはTONEの読み方で、調査が因果を示したわけではない。

もう一つ、「豊か」が横ばいなのに「満足」が最高という差も、読みどころだ。豊かさは「たくさん持っているか」という量の感覚に近く、満足は「いまの暮らしで足りているか」という自分との比較に近い。物価が上がって増やしにくい年でも、足りていると感じる範囲を自分で決められれば、満足は上がりうる。そう考えると、今回の数字は「みんなが豊かになった」ではなく、「足りる線の引き方が変わった」という話に読める。

今日からできる一手

自分の満足を、他人の平均で測らなくていい。今週、「これで足りている」と思った瞬間を三つ、メモに書いてみてほしい。温かい飲み物を飲んだ夜でも、よく眠れた朝でも、小さなことで構わない。

三つ書いたら、その三つに、先週どれだけの時間とお金を使ったかを見る。満足につながっている物にはもっと配分し、書けなかった出費は、来週から一つだけ減らす。調査の70.8%は、全体の平均だ。自分の線は、自分で引くしかない。