ひとり焼肉、ひとりカラオケ、ひとりキャンプ、ひとり遊園地。数年前なら少し勇気のいった単独行動が、いまや「ソロ活」というポジティブな言葉で語られ、ひとつのライフスタイルとして定着した。インテージの調査によれば、直近3か月以内にソロ活を経験したZ世代は41.1%にのぼり、上の世代を明確に上回る。若い世代ほど、ひとりの時間を積極的に選んでいる。

「おひとりさま」から「ソロ活」へ

言葉の変化そのものが、価値観の転換を映している。かつて単独行動は「おひとりさま」と呼ばれ、そこにはどこか寂しさや、同情のニュアンスがつきまとった。ところが「ソロ活」には、その湿った響きがない。むしろ「自分を大切にしている」「自立している」「時間の使い方がうまい」という、前向きなイメージがまとわりつく。同じひとりでも、意味が正反対に反転したのだ。

TONEが注目するのは、ソロ活が「カウンター(対抗)」の性格を帯びている点だ。焼肉もカラオケも、長らく「集団でするもの」とされてきた。それを個人に開いたところに、この動きの核心がある。みんなで、が前提だった活動を、ひとりで堂々と楽しむ。その小さな反抗が、若い世代の共感を呼んでいる。

気を使わない、という贅沢

では、なぜ人は積極的にひとりを選ぶのか。理由はシンプルだ。誰にも気を使わなくていいからだ。相手の食べたい店に合わせる必要も、話題を探す必要も、テンポを合わせる必要もない。自分の食べたいものを、自分のペースで、自分の見たい順に。ソロ活とは、他人への配慮という見えない労働から解放される時間なのだ。

これは、人間関係が薄くなったという話ではないと、TONEは考える。むしろSNSで四六時中つながり続ける時代だからこそ、意識的に「誰ともつながらない時間」を確保する必要が出てきた。ソロ活は孤独ではなく、つながりすぎた日常への調整弁だ。ひとりを選べることは、豊かさの新しい形になっている。

ひとりを、支える社会へ

この流れは、街の側も変えつつある。一人用の焼肉店、カウンター中心の設計、ソロ客歓迎を掲げる宿。「ひとりでも入りやすい」ことが、店選びの立派な価値になった。かつて単独客が肩身の狭い思いをしていた場所が、いちばん快適な居場所に変わりつつある。

もし今度の休日、予定が合う相手がいなくても、それを残念に思う必要はない。むしろ好機だ。誰にも気を使わない一日を、自分のためだけに設計してみる。ソロ活とは、そういう自分との上機嫌な過ごし方のことだ。

参考: ソロ活に関する調査・分析。
出典:知るギャラリー by INTAGE「時間もお金も余裕あり『ソロ活市場』の可能性」 / 野村総合研究所「おひとりさまの変容」