ラーメンの店と、ハンバーガーの店。ふつうに考えれば、同じ会社の中に並ぶ組み合わせではない。ところが2026年10月、名古屋発のスガキヤの運営会社が、ドムドムハンバーガーの運営会社を子会社にしたと発表した。発表から3週間たったいま、この話は「安い店どうしの買収」とは別の読み方ができそうだ。
何が起きたのか
報道によれば、スガキコシステムズは2026年9月30日付でドムドムフードサービスの株式を追加で取得し、出資比率を50%超にした。発表は10月2日。買収額は公表されていない。社名は変わらず、藤崎忍社長が引き続き経営を担い、一部の株式も持ち続けるという。スガキコシステムズは2025年12月にすでに一部出資しており、今回はその延長にあたる。
スガキコシステムズは、ドムドムフードサービスの株式を追加取得し、グループ会社とすることで合意した。出資比率は50%超となり、買収額は非公表。社名は変わらず、藤崎忍社長が引き続き経営を担う。2027年春には両ブランドが同じ商業施設へ共同出店する予定。(記事の要点を編集部で要約)
出典:スガキヤがドムドムを買収(日本食糧新聞・Impress Watch グルメ 各報道・2026年10月2日前後)
スガキヤグループの店舗数は、会社の発表によれば約300店。一方のドムドムについては、今回の報道から最新の店舗数を確認できなかった。数字で規模を比べるのは、ここでは控える。
「別の業態」を足す理由
ここからはTONEの見方だ。発表の中で目を引くのは、買収の狙いとして、ドムドムの物販やテイクアウトのノウハウを取り入れること、ラーメン以外の業態を加えて出店の選択肢を広げることが挙げられている点だ。要するに、一つの店を大きくするのではなく、出店できる「場所の型」を増やす考え方だ。
商業施設の中の区画は、広さも客層もばらばらだ。ラーメンが似合う区画もあれば、軽く食べて持ち帰る店のほうが合う区画もある。手持ちの業態が一つなら、合わない区画は諦めるしかない。業態が二つあれば、同じ施設の中で組み合わせることもできる。2027年春に予定されている共同出店は、この発想をそのまま形にしたものに見える。
もう一つ、見落としたくないのは「ブランドを変えない」ことだ。社名も社長も変わらない。どちらの名前も、長く知られてきたからこそ価値がある。外食では、名前の記憶そのものが資産になる。それを残したまま、裏側の仕組みだけを組み合わせる。買収という言葉の印象より、ずっと穏やかな組み方だ。
外食の世界では、ブランドを一つ育てるのに長い時間がかかる。だから新しい業態を一から始めるより、すでに名前のある店を組み合わせるほうが、出店の判断は早い。今回のように、運営会社が別々のまま関係を深めてから子会社にする流れも、その表れかもしれない。ただし、これは発表内容から読んだTONEの推測であり、両社が実際にどう運営していくかは、今後の発表を待つ必要がある。
次にその店を見るときの一手
この種のニュースは、買った側と買われた側の勝ち負けで語られやすい。けれど、客として見るべきなのは別のところだ。2027年春、同じ施設の中に二つの名前が並んだとき、自分はどちらに入るのか。昼か夜か、ひとりか連れか。選ぶ基準が自分の中でどう変わるのかを、一度だけ意識してみてほしい。店の組み合わせが変わると、人の選び方も少し変わる。それがこの買収の、いちばん身近な影響になる。