10月7日、東京・新宿で、冬服の発表会が開かれた。会場にはマイナス20℃の冷気と、雪や豪雨を再現する散水装置が用意され、モデルがその中をランウェイとして歩いた。主役はワークマンの「XShelter(エックスシェルター)」シリーズ。作業服の店が出した新作が、秋冬のアウター市場を語る材料になっている。

「厚さ」ではなく「温度の幅」を売る

報道によると、今季の新作の目玉は2つある。1つは「快適断熱Σ(シグマ)」で、外気温5℃から30℃までの25℃の差を1着で受け止める設計だとされる。もう1つは最上位の「究極断熱Ω(オメガ)」で、世界初のマイナス30℃対応をうたう。厚いほど暖かいという従来の作り方に、「朝は寒く昼は暑い日の1着」と「極寒の1着」という、2つの別の答えを並べた形だ。

数字も報じられている。同社の計画では、2026年秋冬のシリーズは400万点・140億円、2027年春夏は380万点・110億円で、合わせて780万点・売上250億円を目標にしているという。400万点は前年の3倍にあたるとも伝えられている。ただしこれは販売実績ではなく計画値だ。

ワークマンは2026年10月7日、「2026秋冬 XShelter&機能性インナー新製品発表会」を開催。「快適断熱Σ」は外気温5〜30℃の差に対応、「究極断熱Ω」はマイナス30℃対応とされる。秋冬の計画は400万点・140億円。(記事の要点を編集部で要約)
出典:トラベル Watch「ワークマン、防寒ウェア『XShelter』2026年秋冬モデルをフル公開」、Impress Watch「ワークマン、これからは“寒暖差”対応ウェア 独自路線を強化」、FASHIONSNAP「ワークマンが断熱服『エックスシェルター』を強化」(2026年10月7日)

TONEの視点:冬服の悩みは「寒さ」から「ばらつき」に移った

10月20日の記事では、暖冬の予報を受けて「脱げる3枚」という組み立てを書いた。ワークマンの新作は、同じ悩みに「1枚で答える」というもう一つの道を出したものと読める。ここからは調査ではなく、編集部の見立てだ。

今の冬服の難しさは、寒さそのものより、日ごとの差の大きさにある。朝の駅は寒く、昼の屋内は暑く、夜にまた冷える。この状況では「いちばん寒い日に合わせる」買い方がいちばん外れやすい。発表会がマイナス20℃の冷気と豪雨を同じランウェイに並べたのも、極端な天気を見せるためというより、天気の振れ幅そのものを商品の説明にするためだろう。

もう一つ注目したいのは、売り場の名前だ。作業服の店が、街で着る服の話題の中心に出てきた。山の服が街着になった流れ(9月21日の記事)と同じく、現場で鍛えた機能が日常着の基準に入ってきている。ただし、1着で幅広い気温を受け止める服にも向き不向きはある。長く屋外にいる日には向くが、屋内で長く過ごす日には暑くなりうる。万能と考えず、自分の1日の動き方に合うかで見るのが良い。

明日から使える一手

冬のアウターを選ぶ前に、1日の気温の動きを思い出してみてほしい。外にいる時間と、暖かい屋内にいる時間のどちらが長いか。外が長い人は、温度の幅に対応する1着が合いやすい。屋内が長い人は、脱ぎ着しやすい重ね着のほうが楽だ。売り場では最低気温の数字だけでなく、「何℃から何℃まで」と書かれた幅を見て選ぶと、買ってからのずれが減る。